午後に



 ある日 悲哀が私をうたはせ
 否定が 私を酔はせたときに
 すべてはとほくに 美しい
 色あひをして 見えてゐた

 涙が頬に かわかずにあり
 頬は痛く ゆがんだままに
 私はそれを見てゐたのだが
 すべては明るくほほゑむかのやうだつた
 
 たとえば沼のほとりに住む小家であつた
 ざわざわと ざわめき鳴つて すぎて行く
 時のなかを朽ちてゆく あの窓のない小家であつた......

 しかし 世界は 私を抱擁し
 私はいつしか 別の涙をながしてゐた
 甘い肯定が 私に祈りをゆるすために