ひとり林に



 だれも 見てゐないのに
 咲いてゐる 花と花
 だれも きいてゐないのに
 啼いてゐる 鳥と鳥

 通りおくれた雲が 梢の
 空たかく ながされて行く
 青い青いあそこには 風が
 さやさや すぎるのだらう

 草の葉には 草の葉のかげ
 うごかないそれの ふかみには
 てんたうむしが ねむつてゐる

 うたふやうな沈黙に ひたり
 私の胸は 溢れる泉! かたく
 脈打つひびきが時を すすめる