逝く昼の歌



 私はあの日に信じてゐた---粗い草の上に
 身を投げすてて あてなく眼をそそぎながら
 秋を空にしづかに迎へるのだと
 秋はすすきの風に白く光つてと

 さうならうとは 夢にも思はなかつた
 私は今ここにかうして立つてゐるのだ
 岬のはづれの岩の上に あらぶ海の歌に耳をひらいて
 海は 波は 単調などぎつい光のくりかへしだ

 どうして生きながらへてゐられるのだらうか
 死ぬのがただ私にはやさしくおそろしいからにすぎない
 美しい空 うつくしい海 だれがそれを見てゐたいものか!

 捨てて来たあの日々と 愛してゐたものたちを
 私は憎むことを学ばねばならぬ さうして
 私は今こそ激しく生きねばならぬ