「キーシン」


 キーシンが我が家にやってきた
 ディカプリオの様な若々しい美貌
 あぐらを掻きながら高級なアップライトのピアノで 黄金の音色を光らせている
 そしてキーシンは裸になる 中年を越えたおじさんだ
 お腹だけ風船のように柔らかく膨らんでいる
 濃い胸毛と尻全体の産毛
 情熱に入り 官能的にお尻を突き出して振りながら 立ったままピアノを弾いている

 彼は雀蜂の大家だ
 雀蜂という趣味がある
 30%以上の確率で人は雀蜂と一生付き合わなければならない
 いつも雀蜂が自分の体を這い回るのに耐えなければならない
 それによって人は神経をいつも緊張させることができ
 また汗が多く出てダイエットにもいいらしい
 僕もとうとう雀蜂に取り憑かれてしまった
 それはそれでそのことを受け入れ そして人生を乗り越えていくこと
 雀蜂にもルールがある
 一度取り憑いたら他の人には絶対に取り憑かないし
 大切にされれば害を為さない
 時々は彼らをモデルにした絵でも書いてやらねばならないが
 彼は雀蜂との付き合い方を深く知っている

 彼は共産主義者だ しかし彼ら特有の何でも知っている様な見せかけというよりも 
 何か深さを感じる
 彼は僕に何が言いたかったのだろう
 人生の奥義を知っていたのだろうか
 だけど僕は信じない


    by ひかる 2006/4/9