マヌ法典



 第七章 一五八
 (王は)直接に隣接せるもの、及び(かかる)敵に左袒せるものを敵、その敵に隣接せるものは友、又これら両者より遠くに在る(王)を中立として考ふべし。

 第七章 一八三
 他の時期に於ても、勝利の確實なるを見る時、或は又、その敵に災難の怒れる時には、攻撃のため進軍すべし。

 第七章 一九五
 彼、その敵を(町に)封鎖したる時は、駐屯し、(敵)国を苦しめ、又絶えずその牧草、食糧、燃料、及び水を阻害すべし。

 第七章 一九六
 同じく彼は貯水池、城壁、及び溝渠を破壊し、又、夜陰に乗じ、そ(の敵)を襲撃し、震駭せしむべし。

 第七章 二一九
 よく詮衡せられ、その化粧及び装飾にて荘嚴せられたる婦人、扇、水及び香料もて慇懃に彼にかしづくべし。

 第八章 二七九
 低き階級の者、上(の階級の者)をいづれの肢によりて傷つくとも、その肢は切断せらるべし、とはマヌの教へなり。

 第八章 二八〇
 手、或は棒を振り擧ぐる者は、その手を切断せらるべし。怒りてその足にて蹴る者は、その足を切断せらるべし。

 第八章 二八一
 上位階級の者と同席を占めんとする低き階級の者は、その臀部に焙印を押され、追放せらるべし。或は(王は)彼の臀部を切り取るべし。

 第八章 二八二
 もし、傲慢より(長上)に唾する者は、王その兩唇を切り取るべし。尿をかけたる者は、その陰莖を、(彼に對して)放屁したる者はその肛門を(切らしむべし。)

 第八章 二八三
 もし、(長上の)頭髪をつかむ者は、(王は)躊躇せず、彼の手を切断すべし。同じく足を(捉ふる)者は、髯、頸、或は睾丸を切断すべし。

 第八章 三七九
 剃髪はバラモンにとりては、死刑の代りに規定せらる。されど他の階級にとりては死刑が課せられる。

 第八章 三八一
 この世に於て、バラモンの殺害以上の大なる罪惡は、知られざるなり、故に王は彼(バラモン)の殺害をばたとへ心中にても考ふべからず。

 第九章 一五
 婦人は。たとへ、この(世)に於て注意深く監護せらるるとも、男子に對するその熱情により、移り気により、而して生来の薄情によりて、彼等の夫に叛くものなり。

 第九章 一七八
 バラモンの、淫欲によりて、シュードラの婦人にまうけたる息子は生存すれども一個の屍なり。故に生ける屍と傳へらる。

 第十章 五九
 低き生まれの者は、性質に於てその父或は母、或はその両者に酷似す。彼は決して彼の眞の性質をかくす事を得ず。

 第十章 一〇二
 窮迫に陥りたるバラモンは、何人よりも(布施)を受くべし。なんとなれば、清きものが汚さるるが如きは、法に従へば正しからず。

 第十一章 八五
 バラモンは、その生れのみによりても神々に對してさへ神性なり。又(その教へは)世間の規範たり。なんとなればヴェーダはそのための基礎なればなり。

 第十一章 二四六
 ヴェーダの日々の学習、各々の能力に應じての大供犠(の施行、及び)忍辱は、すべての罪を、たとへ、大罪より生じたるものといえども、(これを)速かに滅ぼすなり。