「中崎義男」
浅黒く引き締まった肉体がどうしようもない存在感を漂わせ解き放たれている
拳を握り締め僕を激励する「負けたらいかんぞー負けたらいかんぞー」
軍隊で培われた不快さと威厳を持った叱咤が僕を殴り飛ばす
剄い優しさで包む早朝の読経
様々な隼人の声があった
彼は人間の本当のあり方を示していた
騙されても信じ やがては諦めず幸せを祈る姿
黙々と農業に打ち込む粘り強さ
どんな恐ろしい敵にでも負ける想像などつかぬ鋭い気勢
究極の隼人のあり方は彼にあった
語り合う姿は誠意とけなげさに溢れていた
大東亜での辛い経験を中毒の焼酎とともに語る
孫である僕をかばい優しく剄く導いてくれた
そんな彼はもういない
彼の青年期の写真だけが姿をとどめている
切なさなどない 涙などない
誰にも負けず強く正しく生きること
それが隼人の末裔である僕の人生の使命なんだ
by ひかる 2003/12/26