爽やかな五月に



 月の光のこぼれるやうに おまへの頬に
 溢れた 涙の大きな粒が すぢを曳いたとて
 私は どうして それをささへよう!
 おまへは 私を だまらせた......

 《星よ おまへはかがやかしい
 《花よ おまへは美しかつた
 《小鳥よ お前は優しかつた
 ......私は語つた おまへの耳に 幾たびも

 だが たつた一度も 言ひはしなかつた
 《私は おまへを 愛してゐる と
 《おまへは 私を 愛してゐるか と

 はじめての薔薇が ひらくやうに
 泣きやめた おまへの頬に 笑ひがうかんだとて
 私の心を どこにおかう?