さようなら、......



 さようなら、自由な自然のすがたよ!
 最後のときに わたしの前に
 おまえは 青い波をまきあげ
 ほこらかな美しさを ひらめかす。
 あたかも 憂いに沈んだ友のささやきのような、
 さながら 別れのときの友の呼び声にも似た
 おまえの悲しげな よびかけるざわめきも
 耳にするものも これが最後。
 ・・・・・・
 ・・・・・・
 世界にはだれもいなくなった・・・・・・いまとなってはどこへ
 わたしを連れだしてくれるのか、海原よ
 人間の運命は どこへ行っても変わらない
 わずかなりと善意のおよぶところ そこには早くも見張っている
 あるいは文明が あるいは暴君が。
 
 さようなら 海よ! わたしはけっして
 おまえの壮大な美しさを 忘れはしない、
 そして、いつまでもいつまでも 耳を去らないだろう、
 夕暮れどきのおまえのとどろきが。
 
 森林にも 沈黙の荒野にも
 わたしは おまえにみたされて たずさえていく、
 おまえの巌を おまえの入り江を、
 きらめきも 影も 波濤のざわめきも。