「勝利を求める者」




 僕は眠るのが嫌いだった。
 空の果てに広がる未知の空間。
 そして誰かに支配されている奴隷の時。
 胸踊る時を過ごすのに夜を越さねばならないときは
 いつも その恐ろしく冷たく渇いた時間を呪った。
 恐怖、悲哀、歓喜怒りそして期待。
 全ての感情、行動が闇の支配者によって決定される。
 月の女王 それを取り巻く星々、無限に続く闇の回廊
 昼の英雄による生気はなく 静寂の中に処女の息吹だけが首筋を撫でる
 孤独は期待を抱かせる 生娘と共に初めての夜を過ごすときの様に
 そして英雄の復活と共に 道端に落ちた一滴の水の様に
 脆く優しく吸い込まれてゆく
 もし僕の太陽を壊さぬ様に優しく包みながら 闇に立ち向かえることができるのならば
 孤独な言葉を持たない我が家に吸い込まれたときに灯す明りの様に
 たやすく勝利することができるだろう  そう 全てに。





             by ひかる 1993/4/11