種まく者まかんとて出づ



  荒野に自由の種をまくもの
 わたしはあけぼのの星より早く家を出て、
 けがれない 罪のない手で
 隷属のくびきにつながれた畠の畝に
 生命の種子を まきつづけていた。
 しかし わたしは ただ時間と
 善良さに溢れた思考と労力を 費やしたのみ......

  草をはむがよい おとなしい民たちよ!
 名誉ある呼びかけも きみらをめざましはすまい。
 家畜の群れたちに自由の贈りものをいくら与えたとて なんになろう?
 須らく かれらを虐殺するか あるいはその毛を刈りとるべきである。
 かれらに代々つたわる遺産とは
 鳴子のついたくびき それに苔。