哲学者の書
・ ギリシア文化は、極めて少数の階級の、その四倍ないし九倍の数の非自由民に対する支配関係の上に、成り立っている。数量から言えば、ギリシアは、野蛮人の住んでいた国であった。一体どうして古代人らが、人間的であるなどと言えよう! 天才と、身過ぎに追われる人や半ば輓獣、駄獣の如き人との、対立。ギリシア人たちは、人種の差別を信じていたのであった。二つの別々の種族を発明することが、自然のお気に召さなかったということを、ショーペンハウアーは、訝っている。
野蛮人のギリシア人たちに対する関係は、「偶然が供給してくれるものを待つ以外にはない、岩に固着している貝が、自由に動き廻れる、いや翼さえもった動物に対する」関係に、等しいのである。ショーペンハウアーの比喩。
・ 絶対的であって、何らの容赦も知らず、「絶滅者」と呼ばれることを欲するような人間の団体を、私は夢想する。彼らは、あらゆるものに対して彼らの批判の基準を当てがい、そして真理のために身を捧げる。良からぬもの虚偽のものは、白日の下にさらされねばならぬ! われわれは、尚早に建設することを欲しない、一体われわれが建設することができるかどうか、また、建設しない方が最良なのではないかどうかを、われわれは知らない。怠惰な厭世家、諦観者がいる、---われわれは、そういう人々に属すことを欲しないのである。