歌ひとつ



 昔の時よ 私をうたはせるな
 慰さめにみちた 悔恨よ
 追憶に飾られた 物語よ
 もう 私を そうつとしておくれ

 私の生は 一羽の小鳥に しかし
 すぎなくなつた! 歌なしに
 おそらく 私は 飛ばないだらう
 木の枝の向うに 青い空の奥に

 未来よ 希望よ あこがれよ
 私の ちひさい翼をつつめ!
 そして 私は うたふだらう

 大きな 真昼に
 醒めながら 飛びながら
 なほ高く なほとほく